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『ハイク・ガイ』について

Japanese Haiku Guy

 『ハイク・ガイ』に描かれた「むかしむかしのニッポン」は、現実の歴史上の日本ではなく、私が気ままにつむいだファンタジーのニッポンです。一部は事実に基づいていますが、大部分はまったくの空想力の産物です。日本が誇る俳句マスター小林一茶を、英語版では「一杯の茶 Cup-of-Tea」(日本語版では片仮名で「イッサ」)と呼ぶことにしました。このキャラクターは一茶を基にしていますが、かなりの部分がフィクションとして作りあげられたものです。この違いによって、読者に、『ハイク・ガイ』の世界は本当の江戸時代の日本なのではなく、それに表面上だけよく似た(何だって起こりうる)平行世界だということを、何とか示そうと試みたわけです。

 『ハイク・ガイ』は俳文ではありません。私じしんは「俳句小説」と呼んでおります。私が試みたのは、伝統的な俳文と現代小説、それぞれの要素を掛け合わせることでした。べつの観点では、これはフィクションをよそおった「句作マニュアル」でもあります。「むかしのニッポン」を舞台にして、私が創作した登場人物が活躍する、読みやすくて、ときにコミカル、ときに悲劇的な物語。それでもって、西洋人を俳句の世界に案内してみたいと思ったのです。くわえて、私が暮らしている現代のニューオーリンズからも、実在の人物たちをキャラクターとして迎えて入れてみました。私が属する創作グループの面々、家族たち、元フィアンセの「ナターシャ」です。むかしのニッポンの「スモモ姫」――赤いキモノの冷酷な高級娼婦――と彼女が似ているのは偶然ではないでしょう。

一茶の俳句